チャイコフスキーの交響曲第5番より、第二楽章、第三楽章をレッスンしました。
二楽章の冒頭に「con alcuna licenza」という標語が記されていますが、これは「リズムやテンポを少し自由に」という意味になります。
実際に楽譜にも、テンポを速めて行ったり、直ぐに遅くしたり等、そのパッセージごとにテンポが細かく指定されていますので、それに機敏に適応しながら弾くことが必要になります。
冒頭のチェロパートは重音になっていますが、役割として内声を受け持っていますので、4人以上の奏者がいるのであれば上と下のどちらかの一つの音をそれぞれ責任を持って弾く方が、音楽的にずっと好ましいサウンドになります。
ご検討下さいませ。
第24小節(Con moto)からテンポが一段階上がりますが、ここは「pp」のパッセージなので、弓の先の方を使います。
第32小節の4拍目から旋律がチェロパートに移行します。
チェロの音色の見せどころですので、朗々とした音で弾けるようにトライしておきましょう。
一小節内に付点4分音符が4つ(8分音符が12個)の、基本的なリズムに乗りながらこのパッセージを自由に弾きこなすことがポイントになります。
第75小節(D)からはチェロの旋律が先導しますので、しっかりと弾くようにしましょう。
第158小節以降、「fff」のパッセージは移弦とポジション移動の、両方の基本技術が必要になります。
出来る範囲で指使い等、検討しておきましょう。
集結部、第181小節の4拍目〜はチェロパートだけの旋律になりますが、G線一本だけで弾く指使いを検討してみて下さい。(音色が変わらないようにする為)
第三楽章は冒頭にフランス語の「Valse」が記されています。
「Waltz」(ワルツ)と同意語で、基本的に軽やかな三拍子に乗って弾く曲になります。
先ずはこの拍子感に乗ることです。
中間部に16分音符のスタッカートで刻む箇所が出てきますが、本日はそのパッセージの弾き方についてレクチャーしておきました。
「弓が弦から離れずに躍動している感触」
言葉で説明するとこのようになります。
ポイントとしては、右手の薬指と小指をフリーにして、基本的に3本の指で弓をコントロールすることです。
臨時記号等が沢山あって少々厄介なパッセージですが、指使い等も含めて検討しておきましょう。
曲の最後、「pp」からいきなり「ff」になる箇所では、弓先から弓元に瞬時に移動する技術が必要になります。
次回は第四楽章から始めますので、出来る範囲で楽譜を見ておいて下さい。