本日はチャイコフスキー作曲の幻想序曲「ロミオとジュリエット」のチェロパートをレッスンしました。
パート譜の2段目、レガートで弾く4分音符が連なるパッセージからレクチャーしました。
チェロセクションが表と裏で上下に別れて弾くディヴィジ(divisi)のパッセージです。
この曲は木管楽器によるFis-moll(嬰へ短調)の旋律で始まりますが、この(divisiに別れる)チェロパートから異名同音を活用してGes-Dur(変ト長調)に転調します。
先ずはこの、変ト長調の音階を正しく捉えることが必須になります。
5小節間をこの調で弾きますが、このフレーズの終わり2小節はf-moll(ヘ短調)に移調しています。
チャイコフスキーの音楽は頻繁に移調する曲が多いので、その調で弾く際の指使いを即座に判断して弾くという技術が必要になります。
これを習得するには、それなりの時間が必要かと思います。
とりあえず今の段階では、迷う箇所があるならば全ての音符に正しい指番号を記しておくしか解決手段は無いと思われます。
2ページ目の下段、16分音符が連なるパッセージは前半、後半で2回出て来ますが、レッスン時に申し上げたとおり、指使いを確実に把握して、遅いテンポでしっかりと音程を定める練習をしておく必要があります。
慣れてきたら少しずつテンポを上げて行く…という段取りを推奨します。
4ページ目、16分音符の同じ音形が半音違う調で2回ありますが、最初のfis-mollの方が困難かと思います。
移弦が必要なので弾き辛いですが、これもテンポを遅くして練習しておきましょう。
最後の2ページは手書きで記した指番号、ダウン、アップの弓順を参考に、楽譜を良く見て音程を間違いなく定めることを前提としてトライしておきましょう。
残りの時間、ビブラートについて手短かにレッスン致しました。
ビブラートは「肘」を軸とした下腕の反復運動を効率よく指先に伝えることで可能になります。
本日は「引き代をとる」という操作についてレクチャー致しました。
振幅を拡げるために、左手の親指の位置を下方に移動させる操作です。
ビブラートをかける指より半音分ほど低い位置に親指を移動させます。
薬指と小指のビブラートに関しては基本の形で親指がその位置にあるので、移動する必要はありません。
中指でビブラートをかける時は親指を半音ほど低い方に移動させます。
人差し指ビブラートをかける時は親指を更に半音ほど低い方に移動させます。
この操作により、左手の肘の位置が顕著に後ろに移動することを実演にて示しておきました。
ビブラートをかける際、親指をネックに付ける人とネックから離す人がいますが、どちらもありです。
ちなみに重音でビブラートをかける場合は親指をネックから離さないとかかりません。
弦楽器にとってビブラート奏法は重要な分野ですので、また随時、レクチャー致します。