ドッツァウアーのエチュード6番から開始しました。
この日は間を空けずに2日続けてのレッスンになりましたので、練習する時間が殆どない状況を見越して、前日とほぼ同じ内容になりました。
弾き始めてから少しすると弦に当たる弓の位置がどんどん指板の上の方に行ってしまうので、その原因としての弓の角度のズレを真っ先に指摘しておきました。
これを確実に直すためには、「弦に対する弓の角度が常に90°を保っているかどうか」を、本人が自覚するしか手段はありません。
その確認法として、指板の縁あたりに付着している松脂の付き方を、自分の楽器と比較して目で見て確認して頂きました。
私の場合、指板の縁に松脂が付くということは基本的にあり得ません。
それについて説明致します。↓
「sul tasto」スル・タスト=指板の上で
この演奏指示がされていても、私は指板の上は弾きません。
↑(指板に達しない)指板に近い方を弾きます。
この反意語の、
「sul ponticello」スル・ポンティチェロ」=駒の上で
という演奏指示用語がありますが、駒の真上を弓で弾く!! ことは事実上あり得ません。
駒に「極度に」近いところに弓を当てる…というのがこの発想標語の意味になります。
レッスンから少々外れているかもですが、「弦に当たっている弓の位置がどれほど重要であるか」をご理解頂きたい次第です。
余談が長くなりましたが、そもそもこの6番で習得すべきものは「p」から「f」までの全ての音符において、「弦を噛む」(全ての音符をハッキリと発音させる)という音の発音と、ドッツァウアー特有の「鍵カッコ」が記された箇所で一度押さえた指を離さないことが基盤になります。
続いてドッツァウアーの8番のエチュードに移りました。
こちらは6番とは打って変わり、音階をレガートに弾く練習曲になります。
事前にポイントを軽くレクチャーしておいたので、移弦の箇所はなかなか出来てように思います。
しかし、この曲でも、最終的には弓の当たる位置と、音の強さと、弓の速度配分のレクチャーに至りました。
この8番の最後3小節にクレッシェンドが記されており、最後の全音符は「f」になっています。
第1ポジションから第4ポジションに移弦するポジション移動にクレッシェンドが記されているのが厄介なのですが…
第1ポジションから第4ポジションに移動した場合、押さえている指から駒までの長さ(弾いている弦の長さ)がほぼ半分になるということです。
ということは、弦の長さが半分になった分、弓をそれに比例して駒に寄せないと同じ条件にならない…(→ポジション移動に合わせて弓を駒に近づける)
という操作を施さなければ結果として音が完全に潰れる?!
という事態に陥ります。
これは、出ている音を聴けば明白です。
残りの時間、ビブラートの基本操作について再度手短にレクチャーしておきました。
ビブラートをかける指より低い位置に親指が当たっていること。
→左手の基本の形で「小指、薬指」は既に親指がその位置にあるので親指の位置を動かす必要はありません。
「引き代」をとる→(ビブラートの振幅を増やす)ために、中指、人差し指でビブラートをかける場合は、ビブラートをかける指より下方に親指を持っていく。
その結果、(小指、薬指でビブラートをかける場合と同じ条件を中指、人差し指に与えるために)左手の肘はその指に応じて必然的に後ろに下がります。
これが、ビブラートの際の「引き代をとる」ことの説明になります。
但し、大前提のビブラートの原動力は左手の「肘」を軸とした、2Kgほどの下腕の反復運動を効率に指先に伝えることが基盤であることをご認識願います。
次回は引き続きドッツァウアーの6番と8番から開始する予定です。