本日ニ時限目は2つのオーケストラ曲の弾き方のポイントについて、数カ所を取り出してレッスンしました。
手始めにウィリアム・テルの後半、4分の2拍子のアレグロ、スイス軍の行進の冒頭部の弾き方についてレッスンしました。
この部分は通常、弓をバウンドさせて弾く「フライング・スタッカート」という奏法で弾きますが、現段階では困難かと思いますので、通常の弾き方で対処しましょう。
とりあえずのポイントとしましては、ppの箇所では弓の真ん中より先を軽めに使って薄い音を保持し、ffの箇所では素早く弓を元の方に持って行き、弓圧を強くして強い音を鳴らす…という操作で解決しましょう。
ここで肝心なのは、4分の2拍子のアレグロの基本的なリズム(+拍節感)に乗りながら、その操作を自然に行うということです。
同じくウィリアム・テルの終盤、下から3段目の箇所をトライして頂きました。
この部分を取り出したところ、音部記号の挿入に気づいていないことが発覚しました。
下から3段目、第450小節に臨時の音部記号としてハ音記号が挿入されています。
この次の小節から3小節間はヘ音記号の5度上の音を弾くことになります。
このハ音記号、チェロの場合は別名「テノール記号」として記され、様々な曲を演奏する際に良く出て来ますので、覚えておきましょう。
残りの時間、フィンランディアのポイントについてレッスンしました。
この曲でチェロパートに良く出てくる細かいトレモロのパッセージですが、ppからffまでクレッシェンドする箇所の弓の使い方が良く改善されていまして感心しました。
但し、弓の角度を90度に保つ基本がまだ定着しておらず、弓先がせり上がるような角度が癖になっていますので、右手の運弓ラインの基礎練習は欠かさないようにしましょう。
続いて中間部の主旋律のパッセージを弾いて頂きました。
チェロを始めて3ヶ月で第4ポジションを弾くのは困難かと思いますが、何とかそれらしく弾けそうに見えました。
先日お渡ししました、フィンランディアの中間部のメロディーを弾く為の第4ポジションの広い形の練習譜(A♭-B♭-C-D♭-D♭-C-B♭-A♭)をリトライしておいて下さい。
ここでのポイントは、C-D♭-D♭-Cで小指を半音ずらず時に他の指も一緒にずらすことです。
次に弾いて頂きました第184小節から第186小節のメロディーの箇所は、臨時記号に注意して確かな音程を取れるよう、練習しておきましょう。
この曲の終結部に ffが毎小節に記されていますが、この場合のff記号はいわゆる最強のアクセント記号の代用として記されていると言えます。
すなわち、その全音符の発音時に毎回ffの勢いを付けるということです。
残りの時間、ラデツキー行進曲について手短にレクチャーしました。
難しい部類の曲ではないのですが、中間部のチェロパートはポジション移動が楽に出来ないと困難かと思います。
第3ポジション、第2ポジション、第5ポジション、この機敏なポジション移動が必須になります。
ちなみに本日のレッスン時、付点2分音符のA音にトリルをつけてしまいましたが、長年やってきたオーケストラの楽譜にトリル記号が記されていたので無意識に付けていました。
この楽譜には記されていませんので、トリルは付けなくて良いと思います。
その場合、このA音はD線上の第3ポジションにて、2指(中指)で押さえるのが妥当です。
以上、本番のご健闘を祈ります。